-4.ホウオウゴケ目
(ホウオウゴケ目、ホウオウゴケ科、ホウオウゴケ属

「ホウオウゴケの仲間の概略」:日本に1科1属、42種。
 京都の平等院の屋根の上には、「鳳凰」という空想上の鳥がすえつけられています。その「鳳凰」の尾っぽの羽のような形をした仲間が、ホウオウゴケの仲間です。肉眼では見えないような微小なものから、5cmを越えるような大きなものまで、多くの種類があります。

「ホウオウゴケの仲間の特徴」(体のつくり)
 茎が生育基物から立ちあがり、2列の葉が平坦についています。葉の形は、この仲間だけに特徴的で、葉の下部は、葉が折りたたまれて、茎を包むようになっています。このため、折りたたまれている部分を「腹翼部」、折りたたまれていない部分を「背翼部」と呼びます。このように、たいへん特徴的な葉を持っていて、しかも、その葉が2列に平坦についていますので、この仲間の種類かどうかというのは、野外でも容易に判別できます。
 この仲間の胞子体は、茎の先端に付くものと、茎の途中につくものとがあります。朔柄の長さはたいていの種類で、茎の高さほどの長さになります。朔歯は「Dicranum型」です。

「観察・同定のポイント」(種を見分ける形質)
 本属の種は、微小(キュウシュウホウオウゴケなど)、小型(コホウオウゴケなど)、中型(トサカホウオウゴケなど)、大型(ホウオウゴケなど)のものがあります。形態的特長がはっきりしたものが多いので、まずは、主なものを覚えてしまうといいかも。

 肉眼やルーペでの観察のポイント:
  胞子体が茎の先端に付くか、途中に付くか。
  葉の形:細長いか、丸っぽいか。
  葉の先端のとがり方:徐々にとがるか、小突起のようになるか。
  葉縁に舷(細胞が細長く、厚膜で、縁取りがあるように見える)があるか。

 顕微鏡での観察:
  中肋の状態:先端に届くか、突き出るか。
  葉の基部が下延するかどうか。
  葉身細胞に乳頭があるか、ないか。

「身近な、分かり易い種」
@トサカホウオウゴケ(Fissidens dubius):葉縁がやや透明で色が薄い感じ。鋸歯は2重。
@ホウオウゴケ(Fissidens nobilis):水辺で、大型。
@コホウオウゴケ(Fissidens adelphinus):土上に生育し、小型。葉縁がやや透明で色が薄い感じに見える。腹翼の細胞の角に乳頭が出る(新しい葉がわかり易いことが多い)。